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03/10/2004

リターナー(Reterner)

cover
「リターナー(Reterner)」
山崎貴監督 2002 日本

○マネするために調査・研究した事柄を、独自のソフトを作ることに役立てた
 らよいだろう

〔1〕ログライン(Log line)(ストーリーを述べてある一文)
―――――――――――――――――――――
闇社会の仕事請負人ミヤモトが、未来からやってきた少女ミリとともに地球の
危機を救う。


〔2〕ストーリー(Story)簡略に
―――――――――――――――――――――
裏社会の仕事請負人ミヤモトが、ある取引現場で、宿敵の溝口と再会する。
そのとき、未来からやってきた少女ミリが現れ、ミヤモトは溝口をとりのがし
てしまう。ミヤモトはミリの依頼を受け、彼女と行動を共にする。溝口の妨害
にあいながらも、二人は地球の危機を救う。


〔3〕Main Character(主な登場人物)
―――――――――――――――――――――
△ミヤモト
 闇社会の仕事請負人

△ミリ
 未来からやってきた少女。

△溝口
 チャイニーズマフィアの手先。ミヤモトの宿敵。
 
△謝
 情報屋

△ダグラ
 宇宙生物
 

〔4〕・1 成功のための3つの要因
―――――――――――――――――――――
〈1〉ストラクチャー(脚本の構成)
▽バディ(相棒)・ロードムービーもの
 …旅をする者同士が最初は反発しあっているが、様々な障害や問題を克服す
  ることで最後には理解し合うようになる。

 ミヤモトとミリ(ミリは劇中でミヤモトのことを「相棒ッー!」と呼ぶ)

▽ファンタジーもの
 …主人公が異質なものと遭遇することでストーリーがはじまる。
  
 ミヤモトにとって異質なもの
 ⇒未来からきたミリ
 ⇒宇宙から降ってきた機械、その他

〈2〉独創性
▽新鮮味があるのか
▽今まで作られてきた作品となにか違いがあるのか
▽それはユニークか
▽フック(観客の興味を惹くもの)はあるか
▽説得力があり、プレミス(コンセプト)に惹きつけられるか
   
〈3〉マーケティング
▽観客が欲してるものはなにか。
▽映画作品と観客との間にどのようなコネクションを設定するか。

  
〔4〕・2 モチベーション(動機)
―――――――――――――――――――――
ミヤモトがミリに協力する動機はなにか
前半は、ミリの強引な要求に引きずられる。
後半は、宿敵である溝口が関わっていることがわかり、幼い頃助けることがで
きなかった友の復讐のために行動を起こす。

ミリの動機はなにか ⇒地球を救いたい


〔5〕Comments(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
これはプロモーション映像だろうか(主に2点)。
(1)金城武と鈴木杏のプロモーション
(2)VFX技術のプロモーション

登場人物は、約8割以上がミヤモト、ミリ、溝口の3人である。
金城武(ミヤモト)、鈴木杏(ミリ)、岸谷五郎(溝口)のプロモーション
ビデオとしては、なかなか大掛かりである。

成功のための3つの要因――〈2〉独創性――について
▽独創性はあるのか ⇒以下の作品を連想させる
「M:I-2」のバイクシーン
「マトリックス」の戦闘シーン
「レオン」のSWAT部隊突入シーン
「E.T」のE.T
「ターミネーター」のストーリー設定
「サイボーグ009」の加速装置
「ジョジョの奇妙な冒険」(荒木飛呂彦著)のスター・プラチナ、ザ・ワール
 ド(共にスタンド名)における時間を止めるスタンド能力。(注:スタンド
 とは特殊能力のこと)

▽今まで作られてきた作品となにか違いがあるのか。
 ⇒有名作品の寄せ集めである。

▽それはユニークか。
 ⇒有名作品の寄せ集めである。

▽フックはあるか。
 ⇒金城武のアクションを見たい、旅客機が変形するところを見たい、等。

▽説得力があり、プレミス(コンセプト)に惹きつけられるか。
 ⇒プレミス(コンセプト)が見当たらない。

仮に、新しいパロディ作品にしようとしたのならば、とことん笑いを追及した
ほうがよいだろう。
 
友人同士で写真などを見せ合うとき、「~っぽくていいでしょ?」「うん、こ
の秋葉原を撮った写真はブレードランナーみたい」というのはなかなかおもし
ろいかもしれない。だが、それはあくまで個人の趣味の世界での話である。
どこかで見た「なにか」に似せることに労力を費やすよりも、その先にあるか
もしれない、あらたな切り口(視点)を見つける訓練や研究をするほうがよい
だろう。

北野氏の作品「HANA-BI」や大友氏の作品「アキラ」や宮崎氏の作品
「千と千尋の神隠し」等がなぜ海外で高く評価されたのか。それは、独自性
があるからである。北野氏の作品にはジャパニーズマフィアであるヤクザが
登場する。大友氏の作品ではネオトウキョウという独自の場所が舞台である。
宮崎氏の作品では異世界が描かれている。これらの作品に共通していることは
ヤクザ、ネオトウキョウ、神隠し、といった日本独自と思われる事柄を題材に
世界の注目を集め、ストーリーを構成しているということである。つまり、多
くの人々に作品を見てもらうための戦略をもっているのである。

マネすることは悪いことではない(どんな作品も、過去のどれかの作品に基本
形が似ている。ストーリーの基本形の数はある程度決まっているからだ)。
日本は海外のすぐれた技術を取り入れ、模倣(マネ)することにより、改良し
てよりよい製品を作り出してきた(例:種子島鉄砲伝来)。こういった模倣を
通して、新しいアイデアが生まれ、よい製品(作品)が生まれるといった日本
が得意とするところは有効に活用すべきである。また、模倣するためには調査
・研究、技術が必要である。

日本のCGやVFX技術は世界水準であろう(「SPAWN」のCGは日本のCG
スタジオで制作されたらしい)。

日本では、若くすばらしい才能をもっている者はみなゲーム業界へいったとい
われる。ゲーム業界は他と比べて新しい業界であり、いわゆる「重鎮」がいな
い。アイデアや技術や才能をもっている者は、自分のスキルを発揮することの
できる可能性が少しでも高いところへいこうとするのは当然であろう。このよ
うなことから、確かに言えることは、高い技術をもったCG制作者やヴィジュ
アル効果技術者が育ち、彼等の技術は世界に通用するものである、ということ
である。
 
世界に通用するすばらしい技術はある。次にすべきことは内容(コンテンツ)
である。
日本のハード(SONY、PANASONIC、HONDA、YAMAHA)
は 世界中に知られている。日本のソフトは……これからである。

マネするために調査・研究した事柄を、独自のソフトを作ることに役立てたら
よいだろう(例「シュリ」 )。制作費にしても、決して安いとは言えないだ
ろうから。

監督・演出、脚本・ストーリーアナリシス、マーケティング、VFXその他技
術、これらがそれぞれの業務を担当し、全体でチームとして作品を制作すると
いうのがひとつの基本の形だろう。

こんにちの日本映画でヒットした作品のうちの多くは、異種業界出身の監督に
よるものである(お笑い、テレビ、アニメ、ゲーム等)。どんな文明や国家も
外部(辺境)からの刺激を受けないと、閉塞してやがては滅びることは歴史が
証明している。そういった意味で、いろいろな業界がいろいろな手法で映画を
作るというのは必要であり、意義のあることである。さまざまな試行錯誤を繰
り返していくことで、いつしかすばらしい作品が誕生する可能性が高まるからだ。

映画作品におけるVFXの使い方については
「さまよう魂たち(THE FRIGHTENERS)」と「リターナー」とを見比べるとおも
しろいかもしれない。

===================
▽世界観について
リターナーの世界観は現代日本とは違う。ではどんな世界観か。
ターミネーターのようでもあるしマトリックスのようでもある。どこでもあり、
どこでもないようである。外国の監督が日本を舞台に映画を撮ると、日本では
ないような雰囲気の作品になることがある。(例 「TOKYO EYES」)これは、日
本人でない人の視点で撮るからであり、その視点で撮られた日本もまた、もう
ひとつの日本の風景と考えられる。つまり、視点を変えることで新たな世界観
が生まれることがある。しかし、借り物をつなぎ合わせただけでは、世界観を
あらたに構築することはむずかしいだろう。

▽ペイオフ(はじめに提供されて後に劇的に使われる情報)
 ⇒ミリはミヤモトに「きっと借りを返す」と約束する。その返し方を観客
  は容易に推測できてしまう(ひねり、意外性に乏しい)。

▽キャラクターについて
ミヤモトとミリの関係がはっきりしない。最初、ミリを厄介者ぐらいにしか思
っていなかったミヤモトが、行動を共にするうちにうち解けていく。これが恋
に発展するのか、兄妹愛のようになるのか、などがわかりずらい(あくまでバ
ディ・相棒ということなのだろう)。
 
バディものは、お互いにキャラクターが大きく違うほうがいい。当初反発し合
う関係から、やがて心が通じ合うようになるまでの変化が描きやすいからだ。
ミヤモトは裏社会の仕事請負人。ミリは未来からやってきた戦士――二人とも
戦士である。歳は親子ほど離れていないが、同世代とは言えない。微妙である。
例えば、ミヤモトが引退間近の大学教授で、ミリが未来の少女戦士、という設
定ならば、もっと変化を描きやすいかもしれない。

「リターナー」は金城武ファンと鈴木杏ファンにはとてもたのしめる作品だろ
う。鈴木杏のミリは、なかなかのハマリ役である。子役のときから観客をひき
つける力があったが、この作品で彼女の魅力がさらに発揮されている。
 
また、情報屋謝役の樹木希林もいい味を出している。
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「リターナー」山崎 貴 (著) 角川書店
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