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03/07/2004

チョコレート(MONSTER'S BALL)

cover
「チョコレート(MONSTER'S BALL)」
マーク・フォスター監督 2001年 アメリカ

○現代アメリカ社会を描写する作品

〔1〕ログライン(Log line)ストーリーを述べてある一文
―――――――――――――――――――――
深い悲しみを背負う男女が出会い、新たな一歩を踏み出そうとする。
 

〔2〕ストーリー(Story)簡略に
―――――――――――――――――――――
看守一家に育ったハンクは人種差別主義者である。ローレンスの処刑を執行
した日、息子のソニーがミスをおかしたことで激しく叱咤する。翌日、ソニ
ーは自殺する。交通事故に遭った親子を助けたハンクは、ローレンスの妻レ
ティシアと出会う。お互いに大事な人を亡くした二人は、心を通わせ合うよ
になる。


〔3〕Main Character(主な登場人物)
―――――――――――――――――――――
△レティシア・マスグローヴ
 死刑囚の夫と、一人息子をもつ。レストランで働く。

△ハンク・グロトウスキ
 刑務所の看守

△タイレル・マスグローヴ
 レティシアの息子

△ローレンス・マスグローヴ
 レティシアの夫。11年の刑期の後、処刑される。

△ソニー・グロトウスキ
 ハンクの息子。新米看守

△バック・グロトウスキ
 ハンクの父。元看守。


〔4〕・1 キャラクター・アーク(Character Arc)
    (ストーリーの中でのキャラクターの経験を通して起こる、
     キャラクターの性格や価値観の変化)

―――――――――――――――――――――
ハンクは人種差別主義者。自宅にアフリカンアメリカンの少年が近づくと、
ハンクは銃を持ち出して追い払おうとする。少年はハンクの息子のソニーが家
に呼んでくれたと言う。

ソニーは新米看守。仕事でミスをおかす。ハンクはソニーを激しく叱咤する。

ハンクの目の前でソニーが自殺する。深い悲しみの中、レティシアと出会う。
ハンクは少年の父親に仕事を依頼するようになる。


〔4〕・2 キャラクタライゼーション(Characterization)
(キャラクターの自己変革を引き起こすような心の中の矛盾を通して
 キャラクターの性格に真実味が増し、より人間らしくなってゆくその過程)

―――――――――――――――――――――
人種差別主義の家で育ったハンクは、同僚のアフリカンアメリカンさえも、
心の中では見下している。

ソニーが自殺したことで、息子のことをなにひとつ理解しようとしなかった
自分を責めるハンク。

交通事故に遭ったレティシア親子を助けようと車を止める。だが、車に轢か
れたタイレル(レティシアの息子)は亡くなってしまう。

同じく息子を失った二人が出会い、ハンクの人種差別的な考えに変化が起こ
っていく。


〔4〕・3 ペイ・オフ(Pay off)
    (はじめに提供されて後に劇的に使われる情報)

―――――――――――――――――――――
ローレンス(レティシアの夫)は処刑される直前に、看守(ハンクとソニー)
の似顔絵を描く。ハンクとソニーはその似顔絵を受け取る。
         ↓
ハンクの家で暮らすことになったレティシアは、ソニーの部屋で似顔絵をみつ
ける。


〔5〕Comments(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
この作品は、死刑制度、人種差別、家族の絆、崩壊……といった現代アメリカ
が抱える社会問題を描いている。

白人とアフリカンアメリカンの二人が出会うにはどういった設定が必要か。
出会うまでの経過が大事になる。

人種差別主義者の家で育ったハンクがアフリカンアメリカンの女性と出会うま
での経過には、よほどの事が起こらなければならない。よほどの事とは何か。
――息子の自殺である。

レティシアは夫を死刑で失い、息子を交通事故で失う。

大事な人を失った深い悲しみの中で、自分自身を見つめ、葛藤する。こうして、
出会うはずのない二人が出会うことで、変化が起き、新たな道が開けてゆく。

事件・事故 ⇒ 悲しみ、葛藤 ⇒出会い ⇒変化 ⇒新たな一歩

現代アメリカ社会を描写する作品である。

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∇参考・用語引用図書 
「ストーリーアナリスト」 
1999フィルム アンド メディア研究所 愛育社

「ハリウッド・リライティング・バイブル」 
2000 フィルム アンド メディア研究所 愛育社
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メールマガジン→「ストーリー・アナリシス (Story Analysis)」

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