「インソムニア(INSOMNIA)」
「インソムニア(INSOMNIA)」
クリストファー・ノーラン監督 2002年 アメリカ
○矛盾や葛藤を描いた作品
〔1〕ログライン(Log line)ストーリーを述べてある一文
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同僚を射殺してしまった刑事がアラスカの百夜で不眠症になり、犯人と自分自
身に追いつめられていく。
〔2〕ストーリー(Story)簡略に
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アラスカの小さな町で殺人事件が起こる。ロスから応援にやってきたウィルと
ハップ刑事が事件を担当する。ウィルは同僚のハップを誤って射殺してしまう。
犯人にそのことを知られ、取引するウィル。だが、事件の真相を明かにするこ
とを決意したウィルは犯人のもとへ向かう。
〔3〕Main Character(主な登場人物)
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△ウィル・ドーマー
LAの殺人課のベテラン刑事
△ウォルター・フィンチ
小説家
△エリー・バー
アラスカ地元警察の新米女性警官
△ハップ・エクハート
ウィルの同僚
〔4〕・1 ステイク(賭かかっているもの)
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〈1〉何が賭かっているのか?
・ほんとうの悪を裁くことができるのか
・ウィルは内務調査の対象となってしまうかもしれない危険
〈2〉どのくらい重大なのか?
・悪にたいする態度は、ウィルの生きる信条に関わっている
・同僚のハップを射殺してしまったこと
〈3〉どのくらい危険なのか
・物理的・・・犯人を野放しにしておくこと
・感情的・・・悪を放っておくこと
・精神的・・・同僚を射殺してしまったこと
〔4〕・2 変化・成長・成熟
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エリーはウィルのことをヒーローとみている。(ウィルが関わった事件を自分
の論文で取上げている)
ハップ射殺事件について担当になったエリーは、最初は型どおりの報告書を作
成する。だが、ウィルにもう一度きちんと自分で調査するように言われ、ひと
りで調査をはじめる。
現場であらたな証拠品を得たエリーは、ハップ射殺事件について疑問をもつ。
エリーはウィルが事件を偽造したことを知る。そして、最後にはウィルから、
大事な事を学ぶ。それは、自分自身で調査して、自分の良心にしたがって行動
する、ということだ。
〔5〕Comments(論評、批評、意見)
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矛盾や葛藤を描いた作品である。
世の中には多くの矛盾がある。ウィルは殺人課の刑事として長年勤めるうちに、
ほんとうの悪が証拠不十分などのために無罪になるという事件を経験する。悪
を裁くため、己の信念のもとにウィルは非合法な手段をとる。
そういったこともあって、内部調査の対象となりつつあったウィルとハップは
アラスカで起こった殺人事件の応援へ向かう。
ハップは内務調査の担当者と取引に応じようとする。それを思いとどまるよう
説得するウィル。取引に応じれば、悪者が社会へ解放されてしまう。
そんななか、深い霧の中で犯人を追っていたウィルは誤ってハップを射殺して
しまう。
自分は故意に撃ったのか、または事故だったのか、自分でもわからないまま、
ウィルは、ハップは犯人に撃たれた、と報告する。
犯人はこの事件をすべて見ていた。犯人は、自分の事件も事故だった、と言っ
て、ウィルに取引を持ちかける。
ウィルは取引に応じる。しかし、自分の行いが内務調査との取引に応じるのと
同じ、あるいはもっと悪いことだと思い悩み、白夜のアラスカで眠れない日が
つづく。
主人公の設定が、自己の信条と現実との間の矛盾に悩み苦悩する、というもの
である。
矛盾と葛藤する様子を視覚的に描くにはどうするか。この作品では状況設定と
配役に注目するとよいだろう。
状況設定……アラスカの田舎町 1日中陽が沈まない場所
配役 ……アル・パチーノ
苦悩するウィルは不眠症になるのは、1日中陽が沈まない町である。特殊な状
況が、ウィルの不眠症と苦悩を描くのに効果的に用いられている。
陽が沈まないのだが、作品の雰囲気は暗い。苦悩や暗さを、陽が沈まないとい
う状況設定で描くことで、ウィルの追いつめられた心境や緊張感を失速させる
ことなく、観客をクライマックスへ導いている。
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∇「インソムニア」新潮文庫 ロバート・ウェストブルック, 新藤 純子
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∇参考・用語引用図書
「ストーリーアナリスト」
1999フィルム アンド メディア研究所 愛育社
「ハリウッド・リライティング・バイブル」
2000 フィルム アンド メディア研究所 愛育社
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Comments
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