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June 27, 2005

バットマン ビギンズ(BATMAN BEGINS)

クリストファー・ノーラン監督/アメリカ/2005年/134分

物語の紹介
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幼い頃に古い枯井戸に落ちた少年ブルースはそこに巣くっていたコウモリを恐れるようになる。
ある夜、強盗に両親を殺害されたブルース。青年になった彼は旅に出ます。闇から闇へと渡り歩いて悪の知識と手口を習得します。
やがてヒマラヤである男に出会い、武術、柔術、剣術等を身につけます。
故郷ゴッサムシティに戻ってきたブルースは、表向きは大富豪のプレイボーイを演じならが、裏ではバットマンとして悪を罰して退治します。


主な登場人物の紹介
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△ブルース・ウェイン/バットマン
 大富豪。

△デュカード
 ブルースの師

△アルフレッド・ペニーワース
 ウェイン家の執事

△レイチェル・ドッドソン
 検事。ブルースの幼馴染の女性。

△ラーズ・アル・グール
 ヒマラヤの組織のボス

△ジム・ゴードン
 警官。バットマンと協力する。


作品案内(ガイド)
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【おおまかに言うとどんな作品?】

「ソドムとゴモラ」をベースに、人間ドラマタッチにした笑いもタップリのバットマン誕生物語。


【見どころ・特徴は?】

‡ バットマンのできるまで ‡

アメリカンコミックが原作の「バットマン」映画シリーズ第5作目です。
アクション映画というよりも、ブルース青年がいかにしてバットマンになったのかというその過程を、人間ドラマという手法で描いた作品です。


‡ アクションではバットモービルが主役? ‡

バットマンのアクションシーンというのは、最近よくある「なんかすごい戦いの応酬がなされているんだろうけどよくわからない」といったような撮り方と編集をしています。

ブルースは特訓をしていろんな武術をマスターしていますが、あくまで生身の人間です。なので、自社開発のハイテク機器を装備して悪と戦います。

ということで、アクションシーンにおいては、実はこれらハイテク機器のほうが主役といってもいいでしょう。

そんなハイテク機器の総大将みたいなものが「バットモービル」です。まるで戦車みたいなバットマンの専用車が、あらゆるものをなぎ倒したり、ぶつかったりしながら猛進していきます。

こんな派手なカーチェイスシーンが撮れるのは米国ならではですね。

バットモービルが走行するのは道路だけではありません。屋根から屋根へ飛び移りながら走り続けます。
いざというときには運転席が変形します。運転者がとるべき態勢としては「ありえねぇ~」といった形に変化するのです。

とっても遊び心溢れるバットモービルですね☆


‡ 「ソドムとゴモラ」 ‡

聖書の創世記にあるソドムとゴモラは、天からの硫黄と火によって滅ぼされました。
ソドムとゴモラはキリスト教文化圏の国や地域はもちろんのこと、それ以外の場所でも有名です。

無秩序で腐敗した街や状態を指して「まるでソドムとゴモラだな」というように使われます。

まるでソドムとゴモラのようなゴッサムシティでひとり(相棒はいますが)悪に立ち向かって街と街の良き住人を守ろうとするのがバットマンなのです。

ちなみにゴサムとは、New York Cityの異名でもあります。
また英国にあったとされる愚か者の住む村、という意味もあります。


【その他】

アメリカ的ジョークや笑いがタップリです。他のバットマンシリーズと比べると人間ドラマ風の作風ですが、わいわいキャッキャしながら楽しみましょう。

ポップコーン食べながら大口あけて楽しめる、そんな作品です。


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June 25, 2005

ザ・インタープリター(THE INTERPRETER)

シドニー・ポラック監督/イギリス/2005年/118分

物語の紹介
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国連通訳のシルヴィアはある日、アフリカ・マトボ共和国大統領の暗殺の話を耳にします。その話はクー語という、国連でも数人しか使うことができない言語でなされていました。アフリカ出身のシルヴィアはクー語を話すことができたのです。
マトボ共和国大統領は近々国連本部での演説のためにアメリカ合衆国にやってくる予定です。そこでシークレット・サービスのトビンはシルヴィアからくわしく
話を聞きます。
シルヴィアとトビンは国連を舞台に、マトボ共和国に関する陰謀の渦中に入りこんでいきます。


主な登場人物の紹介
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△シルヴィア・ブルーム
 国連職員。通訳者。

△トビン・ケラー
 シークレット・サービス

△ズワーニ
 アフリカ・マトボ共和国大統領


作品案内(ガイド)
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【おおまかに言うとどんな作品?】

愛する人を失い、川の両岸にそれぞれ立つふたりが、復讐と悲しみの渦の中で苦しみもがきながらも、やがて同じ岸に立つまでの物語。


【見どころ・特徴は?】

‡ 国際情勢や国際問題に関心を持ってもらう ‡

映画を楽しむとは? 
映画の楽しみ方にはいろいろあります。興味を抱く。新しいことを知る。知識を深める。新しい視点を得る。
もしあなたがこれらのどれかひとつにでも楽しみを見い出すなら「ザ・インタープリター」はその期待によく応えてくれるでしょう。

「人は自分の半径10メートル以内ことさえ知っていれば生活に事足りる」
半径10メートルというのはその人の世界の大きさを表現するための例えですが、自分の家族、親戚、友人、また会社、クラブ、地域さえ知っていれば日常生活には困りません。

でも、あの山の向こうにはなにがあるんだろう? どんな人がどんな生活を送っているんだろう?

そんなふうに思ったことがあるなら、たとえたまたま通りかかった鳥が「あの山の向こうにはおまえと同じことを考えている奴がいるだけだよ」としゃべったとしても、あなたはこの映画を観る価値はじゅうぶんにあるでしょう。

自分の世界を広げるために、まずは世界で起こっていることに関心をもつこと。その大切さに気づかせてくれる作品です。


‡ 実物の国連本部内で撮影 ‡

監督が国連のアナン事務総長にお願いして、特別に撮影許可が下りたそうです。
ニューヨーク・マンハッタンにある実物の国連本部のロビーやスタッフ通路や会議室などを見ることができます。


‡ 人と人との心が通じ合うまで ‡

シルヴィアとトビンのいわゆる恋物語でも愛物語でもありません。
お互いに考え方が違ってるために、両者が川の両岸に立っている。急流のため同じ岸に立つことはないだろうと思えるような、そんなふたり。

ふたりとも愛する人(家族)を失った過去を持ち、悲しみの深い淵にいます。

お互いの間を流れる川の流れが徐々に緩やかになり、その幅が縮まっていく過程が、国連を舞台に緊迫感あふれる展開で描かれます。


‡ その他 ‡

オスカー女優ニコール・キッドマンとオスカー男優ショーン・ペンが主演です。監督はアカデミー監督賞に輝くシドニー・ポラックです。
つまり、豪華なキャストとスタッフで作られた作品なのです。

手に汗握る緊迫の展開とシーンがあります。その一方で、シルヴィアとトビンの心の交流が深くじっくりと描かれます。

年に数本しか映画を観ない人、また、何を観ようかと迷っている人で、ちょっとでも世界に関心がある方に、そして見応えのある作品を観たい方におすすめです。


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June 15, 2005

電車男

村上正典監督/日本/2005年/101分

元ネタ:2ちゃんねる掲示板のスレッド

物語の紹介
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電車で酔っ払いからお嬢様系女性を助けたアキバ系青年。後日その女性からお礼の品が届く。青年(電車男)は彼女(エルメス)と親しくなりたいが慣れないことでどうしていいかわからない。
そこで馴染みのあるインターネットの掲示板で相談してみることに。すると数々のアドバイスや意見や叱咤激励が寄せられる。
電車男は掲示板に集う人々に助けられてエルメスとデートを重ねていく。


主な登場人物の紹介
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△電車男
アキバ系青年。アキバとは日本を代表する電気街・東京秋葉原の俗称。アキバ系は大まかには2系統ある。ひとつはパソコンを自作する人々。もうひとつはアニメーションやフィギュア(キャラクター人形)が好きな人々。電車男はこの両方の好みと知識と技術を持っています。

△エルメス
お嬢様系女性。大手外資系企業(おそらく)に勤めている。海外出張もする語学堪能で落ち着いた雰囲気の女性。機械モノの操作は苦手。高級住宅街の一軒家で家族と暮らしています(犬も)。

△名無し(夫)
サラリーマン。家の書斎のパソコンから掲示板に書き込む。妻との会話はほとんどない。

△名無し(妻)
家のリビングでノートパソコンから掲示板に書き込む。夫との会話はほとんどない。

△名無し(看護士)
二十歳前後の女性。勤務中の休憩時間や空き時間に職場からノートパソコンで掲示板に書き込む。

△名無し(青年)
 家の部屋から掲示板に書き込む。

△名無し(漫画喫茶の男たち)
仲の良い3人の男たち。漫画・インターネット喫茶のパソコンから掲示板に書き込む。


作品案内(ガイド)
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【おおまかに言うとどんな作品?】

内気な青年がインターネットの掲示板でみんなの助言を受けて好きな女性に愛を告白するラブストーリー。


【見どころ・特徴は?】

‡ なにげにリアル ‡

都会に住んでいると電車は身近な移動手段ですよね。またインターネットはどこに住んでいても使える身近なものとなりました。

電車の酔っ払い。インターネットの掲示板。どちらもごくありふれた日常の一部といえる今日この頃、電車男の物語は遠い世界の絵空事ではなく、身近にありそうで、親近感を持つことができます。


‡ 実は美男美女 ‡

エルメスが美女、といのは物語の設定上からも役者さん(中谷美紀)としても明らかなのですが、実は電車男もハンサムくんです。

電車男役は山田孝之。テレビドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」や「H2」に出演しています。

電車男ではアキバ系青年を演じていますが、掲示板でアドヴァイスを受けてイケメン系の服を買って着てみると、カッコイイ青年に早変わり!

元の素材がいいからアキバ系の服装や演技をしても、リアルになりすぎないんです。なので電車男の言葉や行動がユーモラスに感じて、思わずクスっと笑って和むんですね。これで「つかみはOK」ってかんじで彼を応援したくなっちゃいます。

つまり、電車男とエルメスのキャスティングが絶妙なんですネ!


‡ 秋葉原と恋愛 ‡

ラブストーリーと聞いて思い浮かぶ地域・場所というと、東京ではたいていは表参道、青山、恵比寿、自由が丘、お台場、下北沢といったところでしょう。

恋愛とは程遠いと思われていた秋葉原を舞台にしたラブストーリーってインパクトありますよね!

女の子にしてみれば、見栄えもそこそこ大事だけどやっぱり中身よね!っていう思いがあって、男の子にしてみれば別世界の住人だと思っていた綺麗で気立てのいい女性が現れた! っていうのがあって、こうした期待や願望に、意外な場所(秋葉原)と組み合わせ(お嬢様とアキバ青年)をもって見事に応えてくれるのが「電車男」なのです。


【その他】

「アキバの中心で、愛を囁く」

そうです、電車男は愛を叫ぶのではなく、泣きじゃくりながら搾り出すように、愛を囁きます。その声は街の喧騒にかき消されてしまいそうな囁くような小さな声ですが、心のこもった素直な気持を一生懸命にエルメスに話すのです。

エルメスは電車男の手を取って「がんばって」と言って、愛の告白に聞き入ります。

格好わるくても、素直な気持を一生懸命伝えようとする電車男くんが秋葉原のネオンに包まれます。

こんな意外な場所に、こんな新鮮なラブストーリーがあったなんて!☆

そんな作品です。

6月5日付の興行成績1位です。観客の満足度も高く、評判はすこぶるいいですネ。

わたしが観たのは平日のレイトショーでしたが、客席はかなり埋っておりました。女性客が多かったですね。

出版化、映画化とずいぶん駆け足でしたが、予想以上の大ヒットに制作側も驚いているとか。

こんなにヒットすると思っていなかったのでしょう、どこの映画館もどちらかというと小さな劇場を振り当てていたようで、上映回によっては立ち見もあるとか。

お金そんなにかけなくてもヒット作がうまれる好例となりましたネ。

「もうちょっと知りたい『電車男』レビュー」はこちら


∇おすすめレビュー
(まつさんの映画伝道師)さん 「電車男」 ←まずは読んでおくべし☆

(日っ歩~美味しいもの、映画、子育て...の日々~)さん 「電車男」

(any's cinediary)さん 「電車男」

(吉祥寺自由業日記 )さん 「そいえば『電車男』 」


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June 12, 2005

フォーガットン(THE FORGOTTEN)」

ジョセフ・ルーベン監督/アメリカ/2004年/96分

物語の紹介
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8歳のひとり息子(サム)を飛行機事故で亡くした母親(テリー)。やがて精神科医や夫に告げられる。子供はおらず、君は流産したショックから想像上の息子を作り上げていたのだ――と。
テリーは愛する息子のぬくもりと、一緒に過ごした記憶を信じて、同じ飛行機事故で子供を失ったアッシュと共に数々の困難に立ち向かっていく。


主な登場人物の紹介
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△テリー・パレッタ
 女性。本の編集者

△アッシュ・コレル
 元ホッケー選手

△ジャック・マンス医師
 セラピスト

△ジム・パレッタ
 テリーの夫

△サム
 テリーの息子

△ローレン
 アッシュの娘


作品案内(ガイド)
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【おおまかに言うとどんな作品?】

前半での語りの巧さが光る、母子の絆の物語。


【見どころ・特徴は?】

‡ グイグイとひき込まれる語りの巧さ ‡

それってあるある、がいっぱい詰まっています。
息子を失ったショックのため、セラピストの面会を定期的に受けているテリー。
ちょっとした記憶違いや思い違い。流産した悲しみから想像上の記憶を作り上げる。
これらがあるかないかということになると「あるある!」とまではいなかなくても「あり得る」ぐらいにはなります。

そんな「あるかもしれない」出来事が、あり得そうな展開とタイミングで起こります。

そのため、テリーが流産のショックと悲しみから、サムという架空の息子の記憶を作り上げたのではないかという推測が確かなものに思えてきます。

このあたりの題材の配置とストーリー展開が「巧い」んです。なので作品世界にグイグイと引き込まれていきます。


‡ 愛する者を取り戻す共通の目的を持った二人――相棒(バディ) ‡

だれもがサムは元からいなかったというなかで、テリーだけは息子の記憶を持ちつづけ、そのぬくもりの記憶も持ちつづけます。

この気持の強さがやがて元ホッケー選手のアッシュの記憶(娘の存在)を掘り起こします。

アッシュは、テリーは息子の記憶を持ちつづけていたのに、自分は愛する娘の記憶を失っていたことにショックを受け、アルコール依存から抜け出せないでいます。

そんな気持があることから、いざという時になるとアッシュは元ホッケー選手として培ったその体力と行動力と機動力をフルに活かしてテリーをサポートします。

やがてアルコールを絶ったアッシュ。同じ悲しみを背負った者同士の絆がうまれ、息子・娘を取り戻すという困難に二人で立ち向かいます。


‡ 一瞬のビックリ演出が衝撃(笑劇)的! ‡

急にドンッ! とくるビックリ演出・映像があります。とはいってもそんなに期待しないでくさい。あくまで演出という範囲内ですが、一瞬ビックリする個所がいくつかあります。

ビックリ。ミステリアス。サスペンス。うま~く組み合わせてテンポよく展開していく。そんな前半なのです。


【その他】

衝撃の展開とラスト! というような宣伝がありますが、過度な期待はしないほうがいいでしょう。

これは「母子の絆の物語」です。

私の感想は「えぇー! 予想はしてたけどそんなオチかいっ(笑)」ってなかんじです。

この作品のすごいところは「それ」を直接見せずに「それ」を意識させて、観客の頭の中に「それ」の存在を限りなく確信させるところです。

「『それ』ってなんだよ?」ですって?

それをいっちゃあうんぬんってやつです。

まぁ予告編を観た方のうちの多くの予想=「それ」ってところでしょう。

そうそう、一瞬のビックリ映像は衝撃的であり、笑劇的でもあります。

テリー役のジュリアン・ムーアという俳優さんが奥行きのあるいい演技をしています。前半の巧みな語りの効果もあります。そしてあのオチ。そのため、なんとも不可思議な雰囲気の作品になっています。


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June 10, 2005

ミリオンダラー・ベイビー(MILLION DOLLAR BABY)

クリント・イーストウッド監督/アメリカ/2004年/133分

F・X・トゥールの短編集「Rope Burns」におさめられた短編を元にして
いる。

第77回アカデミー主要4部門受賞作品

作品賞(クリント・イーストウッド、アルバート・S・ラディ、
    トム・ローゼンバーグ)
監督賞(クリント・イーストウッド)
主演女優賞(ヒラリー・スワンク)
助演男優賞(モーガン・フリーマン)


物語の紹介
―――――――――――――――――――――
実の娘に縁を絶たれた初老のトレーナー(フランキー)が、家族の愛に恵まれない女性ボクサー(マギー)に出会う。
マギーはフランキーをボスと呼んで慕い、信頼する。
フランキーは当初マギーを拒絶するが、やがて彼女のトレーナーとなって数々の試合で勝ち続けていく。


主な登場人物の紹介
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△フランキー・ダン
 ボクシングトレーナー。ボクシングジム経営者。

△マギー・フィッツジェラルド
 女性ボクサー。

△スクラップ
 ボクシングジム住み込みの雑用係

△ビッグ・ウィリー
 ボクサー

△ミッキー・マック
 やり手マネージャー

△サリー
 マネージャー

△アーリーン
 マギーの母

△“青い熊”ビリー
 ドイツ人ボクサー。汚い手を使うことで知られる。


作品案内(ガイド)
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【おおまかに言うとどんな作品?】

家族を失い、深い傷を負って苦しみの中にある男女の、絆と愛の物語。


【見どころ・特徴は?】

‡ 作品を包む「オーラ」と「匂い」 ‡

ストーリーはシンプルです。シンプルすぎるぐらい。でも、作品には「オーラ」と「匂い」があります。

「オーラ」は目に見えないし、「匂い」だって嗅覚が感知するわけではありません。でも、だからこそこの2つを醸し出すことができる作品というのは滅多にありません。

これはクリント・イーストウッド監督の撮影手法によるところも大きいのでしょう。

最近流行りの短いカットを連続して繋げる、という撮り方をしていません。

ボクシングの練習をするシーンでも、言葉少なげに会話するフランキーとスクラップのシーンでも、画面が落ち着いていつつ、重みがあってしっかりしている印象を受けます。

撮影技術に凝るわけでもなく、突拍子もない設定をするわけでもありません。
だからこそかえって、ひとつひとつのシーンが「匂い」を持つようにななるのです。


‡ アイリッシュ―キリスト教カトリック、緑、ゲール語― ‡

フランキーもマギーもアイリッシュです。

フランキーはアイルランドのゲール語の本をいつも読んでいます。ゲール語はアイルランドの公用語ですが、英語しか話せない人が増えてています。ゲール語はいまではあまり使われなくなっています。

またフランキーは教会のミサにも通っています。神父とキリスト教の三位一体論(父と子と聖霊)の解釈について議論したりもします。三位一体を作品に重ね合わせてみると、フランキー(父なる神)とマギー(子なるイエス)とスクラップ(聖霊)という観方もあります。

とにもかくにも、アイルランドの大多数はカトリック教徒なのです。

フランキーは生粋の江戸っ子ならぬ、生粋のアイリッシュなんですね。

キリスト教カトリックは妊娠中絶や尊厳死を認めていません。キリスト教宗派のなかでも命に関して厳格なのです。

フランキーはアイリッシュであることを誇りに思っており、キリスト教カトリックであるのですが、かつてボクサーを助けることができなかったという思いや、実の娘と縁を絶たれていることから、宗教・生き方について苦悩しています。これが後にフランキーがマギーに起こる出来事をどう受けとめ、そしてどのような決断と行動をするのかということにつながるのです。

アイリッシュカラーといえば緑。いくつかのシーンは緑かかった色をしています。
またイギリスチャンピオンとの試合での入場でマギーは「モ・クシュラ」というゲール語の刺繍をほどこした緑のガウンを着て登場します。このときフランキーも緑のジャンパーを着ています。

そんな姿をみたアメリカ在住のアイリッシュ・アメリカンは応援にも熱が入ります。またヨーロッパを転戦したともマギーは大人気です。世界中のアイリッシュに熱狂的に応援されます。

移民としてアメリカ合衆国にやってきたアイリッシュ系の人々はたくさん苦労しました。移民ですから、よそ者扱いされたんですね。

これについて参考になる映画作品はマーティン・スコセッシ監督の「ギャング・オブ・ニューヨーク」です。ネイティブズ(アメリカ生まれの住人たちの組織、イギリス系)とデッド・ラビッツ(アイルランド移民たちの組織)の対立を軸に主人公の生き様が描かれます。

「ギャング・オブ・ニューヨーク(GANGS OF NEWYORK)」作品レビュー

移民であるアイリッシュの人々は、肉体労働系の仕事に就くことが多かったのです(警官や消防士)。

そしてアメリカ合衆国の主流というか、いわゆるマジョリティはアングロサクソン・白人・キリスト教プロテスタントです。

こういった宗教・宗派という面から、マギーが英国チャンピオンと対戦するシーンを次のような図で表してみましょう。

マギー(アイルランド・カトリック)
       ↓
       ×
       ↑
英国チャンピオン(イギリス・プロテスタント)

アイルランドとイギリスって歴史的にみても、いろいろあるんです。そのあたりの背景を基にした作品にブラッドピットがIRAの闘士役、ハリソン・フォードがアイルランド系の警官役のアラン・J・パクラ監督「デビル(THE DEVIL'S OWN)」があります。

そんなこんなで、マギーの試合は超盛り上がるんですネ。


【その他】

監督のクリント・イーストウッドはいわゆるマカロニウェスタンという西部劇で活躍して名を売りました。その後「ダーティーハリー」シリーズで人気を不動のものとします。監督業にも進出して「許されざる者」「パーフェクト・ワールド」
「目撃」「ミスティック・リバー」など多数撮りました。

マギー役のヒラリー・スワンクはアメリカンドラマ「ビバリーヒルズ青春白書」でシングルマザー役もしていました。映画「ボーイズ・ドント・クライ」主演でオスカー女優になりました。

スポーツ・根性・サクセス・アクションを期待すると、はずします。

これはボクシング映画ではありません。絆と愛の物語です。

実の娘に絶縁された男と、父を失って母の愛がほしくてもそれが叶わない娘が出会い、お互いにかけがえのない存在になっていく愛の物語なのです。

こちらアイリッシュについて詳しくわかりやすく解説していらっしゃいます。参考にさせていただいています。↓

シカゴ発 映画の精神医学 「ミリオンダラー・ベイビー」

基本レビューはここまで↑

これより下はネタバレもアリです↓


【アイリッシュ関連】

∇アイルランド共和国

首都タブリン。立憲共和制。北アイルランドはイギリス領。
19世紀の大飢饉で世界中へ続々と移民する。


∇北アイルランド

北アイルランド紛争。アイルランドへの帰属を求めるカトリック系住民と、イギリス領にとどまるとするプロテスタント系住民の対立から発展。
カトリック系の反英武装組織アイルランド共和軍(IRA)の闘士役をブラッド・ピッドが演じたのがアラン・J・パクラ監督「デビル(THE DEVIL'S OWN)」です。
「デビル」では北アイルランドのベルファーストでイギリス軍(おそらく特殊空挺部隊SAS)とIRA闘士との銃撃戦のシーンがあります。


∇聖パトリック祭

アイルランド系の祭です。アイルランドにキリスト教カトリックを伝えた聖パトリックを祝う祭りです。
アメリカのシカゴではアイリッシュ系が多いので盛大に行われています。この日
ばかりはアイリッシュ系でなくても、緑色のものを身につけるのが習慣になっています。
映画「逃亡者」では外科医キンブル役のハリソン・フォードが聖パトリック祭のパレードに紛れて危機を脱します。


∇映画「アンジェラの灰」

大恐慌時代の1930年代のアイルランドの街リムリックで極貧のなか逞しく生きる少年の物語。少年はやがてアメリカへ渡る。


∇食事

フィッシュアンドチップスにギネスビール(ハープ)。
(マギーの試合入場シーンではアイリッシュハープを演奏している)


【関連ニュース記事】

≪アイルランド≫

和平達成を確信 アイルランド大統領会見
 2005年03月09日(水) gooニュース

IRAが武装解除案を撤回、北アイルランド和平に打撃
 2005年02月03日(木) gooニュース


≪尊厳死≫

植物状態の米女性が死去、尊厳死めぐり依然対立残る
 2005年04月01日(金) gooニュース 

テリ・シャイボさん死去、栄養チューブ撤去から13日後
 2005年3月31日/HealthDayNews Yahoo!ヘルスケア コラム

シャイボさんの両親、州知事に延命介入求める
 2005年03月29日(火) gooニュース

新ローマ法王にラツィンガー枢機卿
 2005年04月20日(水) gooニュース


【参考・関連WEBサイト】

北アイルランド和平
 ニュース漂流 News Drift 
 
アイルランド系移民
 CHEEKY'S GREEN EIRE

日本ケルト協会


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