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May 25, 2005

キングダム・オブ・ヘブン(KINGDOM OF HEVEN)

リドリー・スコット監督/アメリカ・スペイン・イギリス/2005年/145分

物語の紹介
―――――――――――――――――――――
12世紀。鍛冶屋のバリアンは父が騎士だと知ります。バリアンは十字軍の騎士としてエルサレムへ行きます。
バリアンは押し寄せるサラセン軍から愛する王女と民を守るためエルサレムの都で戦います。


主な登場人物の紹介
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△バリアン・オブ・イベリン
 鍛冶屋。騎士となってエルサレムへいく。
 
△シビラ
 王女。バリアンと恋におちる。

△ゴッドフリー
 騎士。バリアンの父。

△ボールドウィン4世
 エルサレム国王


作品案内(ガイド)
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【おおまかに言うとどんな作品?】

誠実味あふれる青年が愛する人と民を守るために戦う物語です。


【見どころ・特徴は?】

‡ お金かかってます! ‡

制作費150億! 庶民にはイメージできない数字です。早い話がとてつもなくお金かけて作っているってことですね。
比較的多くの制作費をかけているアメリカ映画(スペインとイギリスも参加してます)でも、この額はかなり多いです。
「グラディエーター」という歴史スペクタクル映画を大ヒットさせたリドリー・スコットが監督するということ
で、お金をたくさんかけることができたのでしょう。

エキストラ3万人。爆発シーンに使ったプロパンガス12万リットル。エルサレムの城壁を作るために使ったセメント6000トン。
とにかくスケールがおっきい! 
「グラディエーター(GRADIATOR)」作品レビュー


‡ 巨大な投石器 ‡

サラセン軍がエルサレムの都を攻撃するのに使う投石器は、とてもおっきくてビュンビュンと巨石を飛ばします。

投石器が登場する映画ではほかに「タイムライン」があります。でも「タイムライン」よりも多くの数の投石器が登場します。l

どしゃぶりの雨のように降り注ぐ矢と、次から次に連続して投げ飛ばされる巨石の数々(燃える巨石も)。大迫力です。
「タイムライン(TIMELINE)」作品レビュー


‡ スター街道まっしぐらオーランド・ブルーム ‡

主人公バリアン役はオーランド・ブルームという男前の俳優さんです。「ロード・オブ・ザ・リング」での弓矢の達人(というかエルフ)役で一躍大人気となりました。その後「トロイ」というギリシャ戦争の映画で若き王子役も務めましたが、これはあまり格好良くない役どころでした。ちなみに「パイレーツ・オブ・カリビアン」でも鍛冶職人役でした。

なにはともあれオーランド・ブルームは人気の上昇と共にスター(にしきのじゃないよ!)街道をモーレツな勢いで駆け上がっています。
「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」作品レビュー


【その他】

作品はかなり史実に正確なようです。
この作品で描かれるエルサレム包囲戦の時期は十字軍の第2回と第3回の間の 1187 年という設定で、実際にこの年にイスラム勢力はエルサレムを奪還しています。

オーランド・ブルームのファンの方にはたまらない作品です。ものすごく豪華な、スターのグラビア写真集をめくっているかのようで、どのシーンでもオーランド・ブルームがカッコ良く撮られています。

でも、主人公バリアンがある意味で「誠実」すぎるところがあります。そこが主人公の魅力でもあるのですが、視点を変えると、ある意味自己チューかも。はたしてほんとうに民を守ることを第一に考えていたのか。父が思い描いた、平和と愛に満ちた世界という理想郷を実現するためにどこにもいない「真の騎士」になろうとしたのではないか。バリアンは理想・理念を体現するキャラクターともいえます。
バリアンはあまり悩んだり、弱音を吐いたりしません。まるで「タイタニック」のディカプリオのように……。

そいういうわけで主人公に感情移入しずらいかもしれません。最近の映画にみられるヒーロー像とは違っています。つまり、憎めない強いヒーローなんです。悪いやつじゃない、いやむしろいい奴すぎるぐらいで、まがったことが大っきらいでひとつの道を決めたらくよくよ悩まずに突き進む強いヒーローってかんじです。

また、聖地奪還という名のもとに行われてきたのは、結局は富と土地のためだった、という解釈もあることから、キングダム・オブ・ヘブン(天の王国)とは人の心の中にある、というのがメッセージのひとつでしょう。


∇おすすめレビュー

(まつさんの映画伝道師)さん 「キングダム・オブ・ヘブン」

(利用価値のない日々の雑学)さん 「キングダム・オブ・ヘブン」

(ラムの大通り)さん 「キングダ・オブ・ヘブン」


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May 18, 2005

バタフライ・エフェクト(THE BUTTERFLY EFFECT)

エリック・ブレス、J・マッキー・グルーバー監督/アメリカ/2004年/114分

物語の紹介
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少年の頃にときどき記憶がなくなって失神することが度々あった大学生のエヴァンは、7歳からつけはじめた日記を読んでいるときに、運命の分かれ目である過去の一部を変更する方法を発見します。
エヴァンは最愛の人、家族、友人を救うために何度も過去を書きかえていきます。


主な登場人物の紹介
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△エヴァン・トレボーン
 心理学専攻の大学生

△ケイリー
 エヴァンの幼馴染。エヴァンが愛する女性

△トミー
 ケイリーの兄

△レニー・ケイガン
 エヴァンの幼馴染の友人

△アンドレア
 エヴァンの母親


作品案内(ガイド)
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【おおまかに言うとどんな作品?】

過去を書きかえる能力を持った青年が幾通りもの人生をかけて、愛する者の未来を取り戻そうとする、せつなすぎる愛の物語。


【見どころ・特徴は?】

‡ ひとつのシーンの裏には無数の物語がある ‡

人通りが多い街中で男女がすれ違います。どこにでもある日常の風景のひとつだといっていいでしょう。このシーンひとつだけで、とてもせつなくなりました。

ひとつのシーンが観客の心をこれほど強く揺り動かす映画はめったにありません。

歩んできたいくつもの過酷な人生という道のりの果て。そこでエヴァンが決断して歩み出した道。その過程をエヴァンと共に歩んできた観客は「道ですれ違う男女」というひとつのシーンに詰まった「せつなさの意味」を痛いほど感じることでしょう。


‡ 幼少期に記憶を喪失 ‡

小学校で描いた絵。ロビンフッドのビデオ映画撮影。友達とのいたずら。ケイリーたちと行った映画館。廃材置き場。

エヴァンはこれら幼少期の出来事の一部の記憶を喪失しています。そのときなにがあったのか?

想いを寄せている人との過去の出来事を知ったとき、エヴァンはかけがえないものを失います。愛する人の未来を失ってしまったのです。そんなときエヴァンは7歳からつけはじめた日記を手がかりに過去の一部を書きかえる方法を発見します。

幼少期の出来事を分岐点に、いくつもの人生(世界)が枝分かれしていきます。
映画を観ながらあくびをしている暇も余裕もありません(主人公はあくびどころじゃなく、何度も鼻血を出しますけど……まぁそれも無理もありません)。


‡ 「世界で最も美しい50人」に選ばれたカッチャー ‡

主演の青年エヴァン役はアシュトン・キャッチャーという人です。彼は2003年のピープル誌で「世界で最も美しい50人」に選ばれています。

カッチャーはこの作品の脚本に魅了されて制作総指揮にも参加しています。


【その他】

題名の「バラフライ・エフェクト」は有名なカオス理論のひとつです。それは「ある場所で蝶が羽ばたくと、地球の反対側で竜巻が起こる」というもの。つまり、はじめの小さな違いが、将来の結果に大きな差を生み出すという意味です。

けっこう展開が早いです。ホッと息をついてくつろぐ……なんてところはありません。作品のはじまりから一気に惹き込まれ、緊張感を持ってエヴァンと共にいくつもの人生を駆け抜けていきます。

「ゆった~りのほほ~ん」とした映画や雰囲気がお好みの方には向きません。

せつないラブストーリーで心を揺り動かされたい方。いくつものクライマックスと緊張感を存分に味わいたい方におすすめです。

たかの今年のNO.1です(5月時点で)。ここ数年でも上位! かなり期待して公開を待っていましたが、期待以上の出来でした!

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May 11, 2005

レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語

作品名「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語
     (LEMONY SNICKET'S A SERIES OF UNFORTUNATE EVENTS)」

ブラッド・シルバーリング監督/アメリカ/2003年/93分

原作:レモニー・スニケット「世にも不幸なできごと」

映画作品は、書籍のシリーズ最初の三作品
「最悪のはじまり」
「爬虫類の部屋にきた」
「大きな窓に気をつけろ」
を合わせた内容となっています。

第77回アカデミー賞メイクアップ賞受賞作品


物語の紹介
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海辺で遊んでいるときに家が全焼して孤児となった姉弟妹に、さらなる不幸がふりかかります。
姉弟妹は力づよく生き抜いていきます。


主な登場人物の紹介
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△オラフ伯爵
 役者。ボードレール姉弟妹の第一番目の法的後見人。
 
△ヴァイオレット・ボードレール
 14歳。ボードレール家の長女。発明の才能がある。

△クラウス・ボードレール
 12歳。ボードレール家の長男。読書家。

△サニー
 乳幼児。4本の鋭い歯で噛むのが好き。まだしゃべれずに声を出すだ
 けだが、ヴァイオレットとクラウスにはその言葉がわかる。

△ミスター・ポー
 銀行家。ボードレール家の遺産管財人。

△モンティおじさん(モンゴメリ博士)
 爬虫類学者。ボードレール姉弟妹の第二番目の法的後見人

△ジョセフィーンおばさん
 寡婦。文法の正確さを大切にしている。ちょっと変わった恐怖心を抱
 いている。


作品案内(ガイド)
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【おおまかに言うとどんな作品?】

不幸満載で可哀想な三人の子供たちが知識と発想と勇気を持って力強く生きる物語


【見どころ・特徴は?】

‡ 生きる姿勢と力 ‡

これはサバイバルの物語です。世の中はいいことばかりではなく、たくさんの困難に満ちています。いうならば「毎日がサバイバル」です。

なにを困難と捉えるかでなにを不幸と感じるかは変わってきますが、不幸を感じる程度の大小の差はあっても、どんな不幸にも立ち向かっていく姿勢と行動が大事だということにあらためて気づかせてくれます。

「不幸続き」というマイナスだからこそかえって「生きる姿勢と力」がより一層輝いています。


‡ キャラクターが立ってる! ‡

登場するそれぞれのキャラクターがくっきりと際立っています。それぞれの特徴と専門(爬虫類学者・英文法愛好者・役者等)がはっきりしているのです。

登場人物の子供たちは発想の転換によって、出会った相手の特徴と専門に合った対応をしたり、知識をもって謎(暗号)を解いたりといった「見せ場」を存分に発揮しています。

一見すると、突拍子もなく滑稽にもおもえるキャラクター設定ですが、物語を進めていくうえで、とても重要な役割を果すようにうまく計算されています。


‡ おとぎ話風の映像 ‡

不幸な出来事が次々起こり続けると、いくら映画とはいえ観客としてはちょっと辛いですね。

そこで、次々に起こる不幸な出来事が満載となっている作品の雰囲気を、おとぎ話風な世界観に統一しています。

どんな世界観か、どんな雰囲気に近いのかというと、ジョニー・デップ主演のゴシックホラー作品「スリーピー・ホロウ」のスタッフが映像を担当しているそうですので、この作品を観たことがある方はなんとなくイメージできるかと思います。

独特の「おとぎ話風の映像世界」を維持するために大切なのは、登場人物です。作品の雰囲気に合った俳優さんでないと、せっかく作り上げた映像世界が台無しになってしまいかねません。

この点、子供たちの容姿は物語世界の雰囲気によく合っています。どの作品でも子役選びはたいへんでしょう。子役が観客に受け入れられるかどうかにすべてがかかっているといえるほど、子どもが重要な役割を果す作品では慎重に選ばなければなりません。

ハリーポッターシリーズに負けず劣らず、子役がとてもいいと思います。


【その他】

作品は、原作者のレモニー・スケットが音声でナレーションを担当しているという作りになっています。
物語の語り手(神の視点)がテンポよく、わかりやすくナレーションしてくれるのです。

幸せ満載の映画を子供に観せるのもいいですが、こうした不幸せ満載の作品を観せるのもまたいいと思います。

不幸満載というのは、力づよく生きていく姿を映し出すための「仕掛け」のひとつだからです。

原作はとても有名だそうですが、読んでいません。是非とも読みたくなりました。

勧善懲悪なハッピーエンドな物語が好きな人には向かないでしょう。水戸黄門や典型的なディズニー映画が大好きな人はちょっと違和感を抱くでしょう。

でも、不幸せというマイナスなイメージではじまる物語ながら、その内容と進む方向は生きる力に満ちたプラスなものです。

「シンデレラ」に観られるように、不幸に見まわれた美しいものを人は応援したくなりますから、そいういう意味で原作者はかなりのストーリリーテラー(物語る人)ですね。

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